大規模・複雑な相続

1、大規模・複雑な相続とは

大規模・複雑な相続についての明確な定義はありませんが、大規模・複雑というのは、ここでは、単に遺産の評価額が高額な事案ではなく、遺産の種類が多様であり、また多数の不動産が含まれる等遺産の構成が複雑な相続を指しています。

経験的には東京都の山手線外の地域、埼玉県、千葉県、神奈川県で遺産が10億円前後の規模になってくると、後述する大規模・複雑な相続に関する問題点が顕在化してくる事例が多いため、上記の遺産規模が一つの目安になります。

2、大規模・複雑な相続の特徴と注意点

2‐1 大規模・複雑な相続は遺産の調査・整理、手続進行等の多くの局面で業務負担が重くなります。

遺産の規模が大きくなると、遺産を構成する財産の種類・数量が増加し、それに伴って事務処理量・整理すべき問題点が多岐にわたってきます。また、税務上の処理に関して税理士と連携する必要性も高まってくるため、遺産分割・遺留分というカテゴリーに限定しても、一般的な遺産規模の事件とは違う対応が必要になります。

2‐3 大規模・複雑な相続の場合、単なる遺産分割・遺留分の処理だけでは問題解決ができない場合が多くあります。

大規模・複雑な相続の場合、相続開始前に相続対策・相続税対策が入念に行われ、遺言作成・養子縁組が行われていることが多く、被相続人の状態によっては、遺産分割・遺留分の前段階として、遺言・養子縁組の有効性を争う事例もあります。更に、資産管理会社の相続における問題が発生する場合もあります。

2‐3 大規模・複雑な相続に対応するには、同種案件に継続的に取り組んでいる弁護士に依頼することが本当に重要です。

大規模・複雑な相続では、大量の事務処理を行い、複数の法的手続を同時並行で進行することが要求されることがあります。その業務の質・量は、一般的な遺産分割・遺留分とは全くことなります。

一般的な遺産分割・遺留分の事件であれば、特に相続案件に特化していない弁護士でも処理は可能と思われますが、大規模・複雑な相続の場合は、必ず相続に習熟しているか、十分な経験を有する弁護士で、かつ事務所の体制が整った事務所に依頼することが重要です。大規模・複雑な相続の経験がない弁護士が担当すると処理の精度が上がらないだけでなく、事件処理が遅延してしまうこともあります。

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